トランスパラント・フットプリント

ちはやブルーフィルム倉庫

少年

眇の緋(すがめのあか) 

麦茶は、好きではない。 水でいいだろうと思っていた。暖かければ紅茶でもいいし、濃く淹れたコーヒーを氷に差し込んでもいいだろう。けれど、彼はそうではなかった。「夏は麦茶が良いなあ」冷蔵庫を開け、チラチラ私を見ながら言うのだ。 なんてつまらない…

諦点観測(プロット状態)

ぼくらは、諦めることで生きている。 1、エンカウント 「どうでもいいけどきみは欲張りすぎだ。二兎を追う者は一兎も得ず。このことわざはきっと、いくらきみに学がなかろうと、きっと人生の最初のほうで、覚えてるはずだ」 「知ってる、切り株の前でじっと…

薊の棘(アザミノトゲ)

主人公(少年)20程度 精神年齢16 主人公(少女)15程度 精神年齢高め 主人公はもちろん、自分も生きることに意味を見出せない男子。にわかに少女を救おうとかなんか自分の使命感見いだしちゃった少年視点メインから、いやべつにそんなことおもってないんだ…

コンビニラノベネタ

15歳店長♂ 浪村展長(なみむらのりなが) 夏・南の方・しけたコンビニ・押しつけられ店長業務 もしくは押しつけられじゃなくて、自分からそれをしなければならない何か。 →自分探しの旅の途中、コンビニでクレーム付けたら店長はいません。 →店長募集中。 →ワ…

リサ・キーンの朝食

ぼくらは、スクールバスが嫌いだ。 嫌いだ、といってどうなるものでもない。スクールバスがなければ学校には通えない、学校に通えなければ学ぶことも友達と遊ぶことも教師たちにしかられることもままならない。ぼくらの学校は、とても歩いては通えない場所に…

テルミット・ルミネセンス

■1■ ――「納涼十三里半浜大花火大会」 ブロック塀に貼られたポスターだった。近くの中学生が描いたらしきそれは、花火そのものよりも浴衣を纏った少女が真ん中に配置されていた。下の方には日時と場所と注意事項が大きく赤字で印刷されている。その情報の群…

シルクロジック・クロスゴシック

シルクロジック・クロスゴシック 「今度の連休に一緒に釣りでも行きませんか? 二人で!」 ――と来たものだ。これはいわゆるデートのお誘いというものではないのでしょうか? さらに「――連休に」などといっているからには、そう「お泊まり」すらあちら様の視…

アイシクル・サイクル

アイシクル・サイクル 石井孝親〔いしいたかちか〕の火曜と木曜と土曜の朝は早い。 どれくらい早いかというと五時には起きている。そんな時間だとお袋も相手にするのがバカバカしいとばかりに昨日の夜の内に弁当の準備をしておいてくれている。孝親は朝起き…

バンカーサイド・オクトーバ

校舎はついさっきまで赤かった。それは藍色に染まり、すぐに闇の中で仄かに月の光を反射するだけになった。半分強の月が高いところでたったひとり、申し訳なさそうに座している。 文化祭前の最後の夜だった。さっきまで俺が「現実的な確率遊戯」をしていたプ…